2012年8月30日木曜日

検索結果がどうもイマイチ・・・と思ったら 優れワザ1:MeSH termをつかうといいことがあります!

Clinical Queriesがあれば無敵!と思ったのもつかの間・・・,「あの有名な臨床試験がどうしても引っかかってこない!」ということが本当によくありました。検索ワードを試行錯誤しても,どうもイマイチ。

そんなときにオススメの優れワザをご紹介します。
現在制作中の「CORE Journal 循環器 no.2」(2012年10月下旬刊行予定です)で取りあげる,「急性心不全での点滴強心薬の使用方法とは?」というCQについて検索していたときのことです。

「強心薬」を,"inotropic drug" として検索ワードに加えてみたところ,どうもしっくりいかない。迷走しているとき,以前,名郷先生に「"MeSH Detabese"に登録されている用語を選びましょう」とご指導いただいたことを思い出しました。

MeSHとは,Medical Subject Headingsの頭文字をとったもので,PubMedでは索引のようにして使われているそうです。収載された論文それぞれに,順次,MeSH termがつけられていき,Clinical QueriesでもMeSH termをひもづけた検索が行われます(気になった方は,Clinical Queriesで検索したときの"Search details"をチェックしてみて下さい!【参考】)。

索引になっている用語,つまりMeSH termになっている用語を使ったほうが,うまくいきそうですよね!ということで・・・ 強心薬(cardiac tonic? cardiotonic drug? inotropic agents?)はMeSH termとしてどのように登録されているのか,調べてみました。


調べ方は簡単です。MeSH Databaseに入力するだけ!
試しにcardiotonic drugと入力してみると・・・










Cardiotonic Agentsと登録されていることがわかりました。(シソーラスで拾ってくれるんですね!すごい!)

このように,検索でつまづいたときはMeSH Datebaseで用語を確認してみると,案外うまくいったりしますので,是非試してみて下さい。

でも,MeSHにも実は弱点が・・・。
次回の更新では,MeSHについて,もう少しご紹介する予定です。

2012年8月27日月曜日

PubMed検索ってどうやればいいですか? ステップ5:予後や副作用について知りたいとき

Clinical Queriesでの検索にも慣れてきた,と感じてきたのもつかの間,「どうしても疑問に合う文献がみつからない!!」ということが出てきました。

しょうがなく,Clinical Study Categoriesの『Scope』を,narrow(漏れがある可能性はあるが,適切でない文献は少ない)から,broad(適切でない文献が含まれる可能性はあるが,漏れは少ない)に変えて,ひぃひぃ言いながら膨大な数の文献リストと格闘していました・・・。アブストラクトを読むだけでも膨大な時間がかかることもしばしば。

これではいかんと,あるとき名郷先生に相談すると,

「これは,『Category』をTherapyではなく,Etiologyか,Prognosisを使うべきです」

と教えていただきました。

「え・・・?カテゴリー? 何でしたっけそれ。」 あろうことか,編集部ではいつもClinical Study Categoriesの『Category』を“Therapy(治療)”にしていたまま,検索を行っていたのでした。『Category』を,よくよく見てみると,確かにほかにも

  • Etiology(病因,副作用) 
  • Diagnosis(診断) 
  • Prognosis(予後) 
  • Clinical Prediction Guides(臨床予測指標)
というフィルターが並んでいました・・・。
  
早速,試してみました。例えば,糖尿病患者で,アスピリンを投与された方の重大な出血の頻度は? という疑問の場合,フィルターは“Therapy(治療)”よりも“Prognosis(予後)”にしたほうが,検索がうまくいくことがわかりました。

画面左中央の『Category』で,フィルターが選択できます

「疑問の種類によって,求めるエビデンスの種類も異なる」

ということを考えもしていなかったのです。例えば,“予後”に関する疑問を検討する場合は,RCTより,むしろコホート試験が適しているそうです。

これ以降,編集部では挙げられた疑問の種類が “治療”についてのものなのか,それともそれ以外の “診断” ,“予後”,“副作用”なのか・・・?についても確認しながら検索するようにしました。

ということで・・・ ステップ1234,5の5回にわたり,Clinical Queriesを用いた検索の基本を紹介してきました。でも実際にやってみると,そんなにすんなりとはいかず・・・,名郷先生には何度もお世話になりました。今後,「困ったときの解決法」についても紹介していきたいとおもっています。次回は第一弾として,MeSH termについてご紹介します!


「予後」について検討している本誌記事【PDF全文】はこちら 
no.3 2013 春夏号

「予後」について検討している本誌記事はこちら 
no.5 2015 春夏号
  CQ 3 肥満症に対する外科治療の効果は?

no.2 2012 秋冬号 

2012年8月23日木曜日

PubMed検索ってどうやればいいですか? ステップ4:RCTを探してみる

名郷先生のおかげで,PubMed検索をマスターした気になっている,編集部です!

「CORE Journal 循環器」本誌では,最初にメタ解析を探し,なければランダム化比較試験(RCT)を探すようにしています。みつかったメタ解析が古ければ,それ以降のRCTも確認するようにします。
前回のCQ3の検索では,新しいメタ解析が3件もみつかったので,本誌ではこの3件をもとに,専門医の先生にレビューをお願いすることにしました。でも,RCTはどうやって探せばいいのかな・・・,そういえばClinical Queriesの左のブロックに"Clinical Study Categories"というのがありましたよね??早速名郷先生にきいてみることに。


―― "Clinical Study Categories"の下部にある"Category"には,五つのプルダウンメニューがあります。調べたいCQによって,すきなカテゴリーを選べばよいのですが,今回は"Therapy"がよいですね。とりあえずは,前回のCQ3の検索で用いた検索ワード(diabetes, mortality, intensive)を入力しましょうか。

―― つぎに,その下の"Scope"を設定しましょう。Broadは幅広いタイプの文献,NarrowはRCTなどのいわゆる臨床試験に限定した検索が行われます(メタ解析なども含まれます)。
通常は,まずNarrowに設定すると良いと思います。

↑Broadだと950件以上が引っかかりますが,Narrowにすると一気に130件ちょっとに!でも130かぁ。あわよくば・もうちょっと減らないかな・・・と思いながら,"See All"をクリック。


―― 新しいものはこの段階でチェックしたいところですが,Filterを使ってもいいですよ。画面左側に,リストのようなものがありますね。これがFilterという機能で,検索結果をさらに絞り込むことができます。

―― ためしに"Randomized Clinical Trial"のFilterをクリックしてみましょう。

↑110件になりました(なんだ,あんまり減らないのね)。それに,厳密にはRCTとはいえないようなものも引っかかっている。。。アブストラクトで一つずつ確認していかなければ。

―― Filterには,いま表示されてるよりも多くの種類があります。最上段の"Show Additional filters"のチェックボックスにチェックをいれると,すべてのFilterを表示させることができます。

↑へえ~!!それ以外のFilterも結構使えそうですね!

ということで・・・編集部でもRCTを探せるようになりました。次回の更新では,「予後」や「副作用」について知りたいときのClinical Queries活用法をご紹介します。

2012年8月22日水曜日

便利機能:MY NCBIに検索式を保存しよう

検索式を作ったら,その検索式を保存しておきたいですよね。
メモ帳にメモしていっても良いのですが,PubMedを運営する米国国立生物工学情報センター(NCBI)が,検索式を保存し,検索結果のアップデートを定期的にメール配信してくれるサービスを行っています。

画面右上の「MY NCBI」をクリックし,


左下のブロックの"Register for an account"からアカウントを作成します。

ログインしたうえで,保存したい検索結果の画面を開き・・・,



検索窓の下部にある"Advanced"をクリック!

"History"のSearch #をクリックし,プルダウンメニューの最下部にある"Save My MCBI"を選びます。
(Historyでは,ブラウザを立ち上げてからの履歴が残ります。うっかりSaveし忘れても,ここをみればOK!履歴どうしを掛け合わせたAND検索,OR検索,またはNOT検索などもできます。)
適当な名前をつけて"Save"をクリックすると,
(あとから見てもわかるように,わかりやすい名前をつけておくとよいですよ~!)

保存完了!

メールで検索結果のアップデート情報を送ってもらう場合,そのスケジュールを設定することもできます。

COREジャーナル編集部もこの機能を使って,定期的にアップデートを確認しています!とっても便利なので,是非使ってみてください。

以上,MY NCBIへの検索式の保存についてでした。

2012年8月16日木曜日

PubMed検索ってどうやればいいですか? ステップ3:検索ワードを考える

Clinical Queriesのすごさがわかってきたところで。いよいよ,文献の絞り込みです。名郷先生に見てもらいながら,まずはCOREジャーナル創刊号のCQ3からはじめてみることにしました。

Clinical Question:糖尿病に対する厳格な血糖管理の効果は?
  • P 2 型糖尿病患者え
  • E 薬剤による厳格な血糖管理
  • C 標準治療
  • O 失明,人工透析への移行,心筋梗塞,脳卒中,死亡
前回のデモでは,Clinical Queriesの検索窓にdiabetesとmortalityを入力し,Systematic Reviewsが1000件以上となりましたので,まずは検索ワードを見直してみます。

ステップ3: 検索ワードは少なく,シンプルに。まずは"P"と"O"を入力しよう

今回は「薬剤による厳格な血糖管理」が問題にされているから,intensive glucose controlはどうだろう?具体的な薬剤名をいれてみてもいいのかな?mortalityよりもっと具体的なアウトカムを入れた方がよさそう?などと,編集部員からいろいろな意見がでました。
先生の答えは・・・

―― 検索ワードをやたらと入れるとドツボにはまります。その領域の医学的知識が豊富で,検索の仕組みを熟知しているならできなくはないでしょうが,ここではやめておきましょう。

↑たしかに,薬剤といってもたくさんありそうだし,一般名かクラス名か,それとももっと大枠の「糖尿病治療薬」的な用語がいいのか・・・,あらゆる可能性を先回りすることなんて私たちには無理。
・・・。

――でもintensive glucose control の"intensive"だけ加えてみるといいかもしれませんね。

↑そうか,かならずしもフレーズで検索するわけではないのだから,あまり重要でないglucoseとcontrolは切った方がいいんだな。で,intensiveを加えてみたところ・・・
なんと約150件まで絞り込まれたではありませんか!!
でもmortalityって,どうなんだろうなあ。

―― 今回は真のアウトカムについて調べたいわけですが,心筋梗塞や脳卒中という具体的な用語より,死亡(mortality)を選びましょう。真のアウトカムを評価した研究なら,まず,死亡率も検討しているはずですから。

↑ なるほど,この検索では,ピンポイントで死亡率の研究を探そうとしているのではなく,「死亡率」をエサにして,真のアウトカムについての検討結果をさがしてるってことなんだ。
(後日,"mortality" を使ったときと "death" を使ったときとで若干結果が変わってくることに気がつき,CORE ジャーナル本誌では(death OR mortality)を使っています)

diabetes,mortality,intensiveでの検索結果をみてみると,いきなりメタ解析やコクランレビューの新しいのが3件も!!
今回,名郷先生から,スペシャルなコツを伝授してもらいました(まだどこでも話してない,とおっしゃってました。なんてラッキー!)。
  1. 検索式を作るときは,まず"P"と"O"を入力する
  2. 検索結果が多すぎるときは,"E"を加えてみる
PECOを作っておいたことが生きてきました。この方法なら,単なる思いつきではなく,戦略的な検索ができますよね。この戦略的というのがたぶん,すごく,大事なことなんだと思います。

長くなってしまいました。今回はメタ解析3件が見つかりました。次回の更新では,ランダム化比較試験など一次研究の探し方についてご紹介する予定です!

2012年8月10日金曜日

PubMed検索ってどうやればいいですか?ステップ2:Clinical Queriesってなんでしょう

PECOができたことだし,さっそく検索をしてみよう!ということで,名郷先生に検索のデモをお願いしました。使うのはPubMedのClinical Queriesという機能。ここの検索窓にキーワードを入れると,自動的に(イケてる)検索式を作成してくれるらしいのです!

ステップ 2 Clinical Queriesにキーワードを入力してみる
――ためしにdiabetesとmortalityを入力してみます。

右からClinical Study Categories,Systematic Reviews,Medical Geneticsのそれぞれに,検索結果の一部(5件)が表示されました。
  • Clinical Study Categoriesには臨床的な研究論文
  • Systematic Reviewsにはメタ解析を含めたレビュー論文
がおもに引っかかってきます。

↑これなら簡単!でもどこらへんが「検索式」??先生に聞いてみると…

――  Systematic Reviews の末尾にある"See all"をクリックするとおなじみの文献リストが表示されます。右の列にSearch detailsというボックスがありますね。ここにあるのが自動的に作られた検索式です。



↑"Search details"の内容をコピペします。
systematic[sb] AND (("diabetes mellitus"[MeSH Terms] OR ("diabetes"[All Fields] AND "mellitus"[All Fields]) OR "diabetes mellitus"[All Fields] OR "diabetes"[All Fields] OR "diabetes insipidus"[MeSH Terms] OR ("diabetes"[All Fields] AND "insipidus"[All Fields]) OR "diabetes insipidus"[All Fields]) AND ("mortality"[Subheading] OR "mortality"[All Fields] OR "mortality"[MeSH Terms]))

よくわからないけど,なにやら立派なものができている。この検索式が自動的に作られ処理されることによって,検索から重要な論文がもれにくく,関連しない論文ははじかれやすくなっているそうです。

このClinical Queriesの検索アルゴリズムは,R. Brian Haynes先生が考案したもの。EBM領域では超がつく有名人のようですね(名郷先生のブログでも紹介されています)。

長々と書いてしまいましたが,やることはClinical Queriesの検索窓にキーワードを入力するだけ!問題は・・・,このキーワードだとSystematic Reviewsは1000件以上,Clinical Study Categoriesは10000件以上の文献が引っかかってしまうこと。

どうやって絞り込んでいくかは,次の更新でご紹介する予定です!

2012年8月9日木曜日

PubMed検索ってどうやればいいですか? ステップ1:PECOをつくる

COREジャーナルの立ち上げで,最大の課題だった文献検索。

「メタ解析などのレビュー論文では,検索式を作って検索しているみたい」
「検索式ってなに?キーワードをいれるだけじゃだめなの?」
「記号っぽいものがたくさんついてるよ。だから「式」なんじゃない?」

無理無理,ぜったい無理。

ということで,編集委員の名郷直樹先生に,文献検索の基本を教えてもらうことにしました。
PubMedのClinical Queriesという機能をつかえば,自動で検索式を作ってくれるとのお話に,一同,ほっ。COREジャーナルに,Clinical Queriesはなくてはならない機能になりました。

検索に入る前に,先生に教えていただいたこと。

ステップ1 真っ先にClinical Questionを整理し,自分が何を調べていくのかを明確化する
そのために,Clinical Questionを「PECO(ペコと読む)」という形式に書き出してみましょう。
  • PはPatients 患者
  • EはExposure 暴露(介入)
  • CはComparison 対照
  • OはOutcome 結果
の頭文字です。

「糖尿病に対する厳格な血糖管理の効果は?」というClinical Questionなら,
  • P 2型糖尿病
  • E 薬剤による厳格な血糖管理
  • C 標準治療
  • O 失明,人工透析への移行,心筋梗塞,脳卒中,死亡
という感じです。

↑こうやってPECOにすると頭の中が整理されて,ちょっと前進した気分です。
"O"の設定には,かならず『真のアウトカム』を含めることも,ポイントだそうです。血糖値などのサロゲートアウトカムを評価した臨床試験の結果は,死亡などの『真のアウトカム』を評価した臨床試験で覆ることが「本当に良くある」そう。

いまだから言っちゃいます。この時点では私たち,「PECOにすると理解しやすくなるけど,そこまで重要?なんか手間もかかりそうだし・・・」と思っていました。

しかし,このPECO,PubMed検索をやってみると・・・ほんとうにすごいんです。PECOがなければ,行き当たりばったりの適当な検索を繰り返してしまっていたに違いない。
PubMed検索については,次の更新でご紹介する予定です!

はじめまして,「CORE Journal 循環器」 編集部です!

「CORE Journal 循環器」は,ライフサイエンス出版が刊行する雑誌です。


臨床現場の未解決テーマに,EBMによる実践的な解決法を!
というコンセプトのもとに,これまでにない編集方針で制作しています。

■臨床医が日常臨床のなかで感じている疑問はなんだろう
■まずはPubMedで文献をさがしてみよう
■この文献を読んだら,第一線の臨床医はなんて答えてくれるだろう


漠としたイメージではじめてみたら・・・,つまづいてばかりでちっとも前に進めない!
疑問を整形して,PubMedで検索する作業はとくに失敗ばかり。
編集委員の先生に手取り足取り面倒をみてもらって,やっと1号ができあがりました。

いま振り返ってみて
編集部の失敗は,これからPubMed検索にトライされる読者の方々に,
もしかしたらお役に立つのではないか。
そんな思いから,このブログをはじめることにしました。

1号ができあがってから3ヵ月とたっていませんが,1号でつくった検索式に
すてきな文献が引っかかってきています。そんなアップデート情報も
お伝えしていきたいと思います。

雑誌の詳しい内容や,テーマについての紹介は
CORE Journal 循環器 online」に掲載しています。

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