2013年4月17日水曜日

サブグループのメタのいけないところ☆治療効果が過大評価されがち



引き続き名郷先生の面談から。以前このブログでも紹介したアヤシイメタ解析,再び登場です。

サブグループのメタのいけないところ☆治療効果が過大評価されがち

CQ9:心臓再同期療法が有効なのはQRS幅が120ミリ秒以上か,150ミリ秒以上か?
で検索したメタ解析(PMID:21815961)について伺っていたときのことです。

 これもRCTのサブグループのメタ解析ですね。

↑ええと・・・RCT参加者をQRS幅150ミリ秒以上と未満に層別化したデータを用いて,メタ解析を行っています。150ミリ秒以上の場合,全死亡+心不全による入院を42%抑制するという結果になっています(ハザード比0.58,95%信頼区間0.50-0.68)。

― サブグループ解析のメタ解析は,よい結果が出やすいですからね。

↑よい結果が出やすい!?

― サブグループ解析は,よい結果が出たものだけが報告される傾向があるんです。だから,システマティックレビューを行って公平に論文を集めメタ解析を実施しても,有効性が過大評価されているかもしれない。

↑ 出版バイアスの話と似ていますね。。最近,臨床試験実施前にClinical Trials. govなどの公の登録サイト(http://clinicaltrials.gov/ct)に登録することが要求されるようになっていると聞きました。海外有名誌が集まる医学雑誌編集者国際委員会(ICMJE)は,この登録を論文掲載の条件にするという声明を発表しています(PMID: 15355883,小社刊「臨床研究と疫学研究のための国際ルール集」に翻訳を掲載しています)。

― さらに最近,一流誌に掲載される論文では,サブグループ解析が事前に設定されたもの,あるいは事前設定されたかどうかが明記されるようになりつつあります。

↑そういえば!論文を読んでいるとたまに出てくるんですが,そんな意味があったとは知りませんでした。メタ解析に含まれたRCTサブグループはどうだったのか・・・ 調べ出すときりがないですね。。

― まあ,あんまりこだわらずに,サブグループのメタ解析は少し控えめにみておく習慣をつけておけばよいと思いますよ。ざっくり,150ミリ秒以上の人のほうが効きそうだ,という感じで捉えていけばよいでしょう。

※この内容は,本誌第3号に,詳細が掲載されています

次回の更新では・・・
『早期中止試験について冷静に考えてみよう☆それほど良くもそれほど悪くもない』
について紹介する予定です!

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