2013年3月28日木曜日

PROBE試験について考えてみよう☆アウトカム次第では捨てたものじゃない

引き続き名郷先生の面談から,論文の読み方のポイントをご紹介します!

PROBE試験について真剣に考えてみよう☆アウトカム次第では捨てたものじゃない


CQ2:オメガ3系脂肪酸は心血管病予防に有効か?で検索した,JELIS試験[PMID:17398308]について伺っていたときのことです。

 JELIS試験は,惜しいんですよね。

↑JELIS試験は2万人弱を登録した大規模試験で,EPAが一次エンドポイントを19%有意に抑制するという,良い結果が出ているようなのですが・・・ どこが「惜しい」のでしょう?

― 一次エンドポイントをよくみてみましょう。心突然死+致死性/非致死性心筋梗塞+・・・ ここまではいいとして,さらに狭心症+血管形成術(ステント留置,冠動脈バイパス術)が加わっています。これがJELIS試験の科学的な信頼性を損ねてしまう要因なのです。

↑ でも,ランダム化比較試験で設定される複合エンドポイントではよく見かけるイベントだと思うのですが。

― ランダム化であるかどうかはここでは問題ではありません。問題は,症状を訴える患者,イベント発生を判断する医師が盲検化されていたかどうか。JELIS試験は二重盲検試験ではなく,PROBE法とよばれる,前向き(Prospective),無作為(Randomized),オープン(Open),エンドポイントブラインド(Blinded-Endopoint)で行われた臨床試験です。

↑ 二重盲検ではなくオープン試験・・・ それがエンドポイントの内容とどう絡んでくるのでしょう。

― 狭心症や血管形成術の必要性といったものは,患者と医師の主観が入ってくるでしょう。非投与群のあなたはちょっと心配だから血管形成術しておきましょう,あるいは,胸が苦しくなったりすることはないですかと聞いてみたり,ということが起こりうるのです。だから,試験薬の有効性を過大評価する結果が導かれやすい。
でも二重盲検であれば,医師も患者も割り付けを知らないわけですから,エンドポイントの判定に影響しません。こうしてバイアスをそぎ落としていくことで,「信頼に値するデータ」が生み出されていくのです。

↑ PROBE法は,日本で実施される臨床試験の多くに取り入られているようなのですが,PROBE法の試験は信頼できないということなのでしょうか。

― PROBE法だから駄目,ということはありません。死亡や心筋梗塞のように,イベント発生のジャッジが明白なエンドポイントで検討されていれば,かなり使えるエビデンスだといえるでしょう。
臨床試験を行うには,現実にはさまざまな制約があります。また,バイアスの可能性を極限までそぎ落とした臨床試験を行ったとしても,それを実地臨床で再現することは無理な場合も多い。よりバイアスの少ない研究がほかに存在しないのなら,バイアスの影響を考慮しながら臨床に応用していく,といった「臨床医の判断」が必要になってくるのだと思います。

この内容は本誌第3号に詳しく掲載されています! ぜひご覧ください

次回の更新では・・・
糖尿病予備軍でインスリンが効かない理由を考えてみよう☆有用性が害に相殺される
について紹介する予定です!

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