第1弾「アヤシイ」メタ解析,第2段NNT の「ツボ」に引き続き,今回も「CORE Journal 循環器」第2号についての名郷先生との面会での内容を一部ご紹介していきます!
今回は,「傾向スコア(Propensity Score;プロペンシティースコア)」についてです。「傾向スコア」って実際のところ何なのでしょう?
第3弾:傾向スコア「これでもうRCTはいらない?!」
-う~ん。この論文は,t検定で解析をしているようです。多変量解析をしておらず,交絡因子の調整はされていませんね。
↑・・・つまり・・どういうことでしょう・・・。
-強心薬を投与された患者は2割程度亡くなるが,それが薬の投与のせいなのかはわからない。単に強心薬を投与されるような人は重症な人が多かったということしかいえない,ということですね。
↑強心薬が投与された患者と,対照の患者では背景がかなり異なる可能性があるということですね。
-そうですね。ただ,このADHERE registryは傾向スコアで解析しているので,とても参考になりそうですよ。
↑先生,最近傾向スコアってよく耳にするのですが,実際どういうものなんでしょうか。
-観察研究の場合,それぞれの薬剤が投与された人の背景は均一ではないですよね。ですから,このように2群を比較していたはずなのに,背景が不均一であることによって結果が影響されてしまい,ともすれば誤った結論が導かれてしまうことがあります。
ADHERE registryを例として簡単にいいますと,ドブタミンを処方されている患者の背景から,交絡因子を調べて,重み付けをして,ドブタミンの処方されやすさをスコア化します。そうして,ドブタミンを投与されていない人で同様の背景をもつ人を選び出し,比較する ということですね。
↑なるほど! そうすればある程度,背景が揃ったものとして2群を比較できるわけですね。では傾向スコアで解析さえすれば,もはやRCTは必要ない・・・?
-一時はそういう話もありました。ただ,観察研究とRCTでは異なる結果が出ている場合もあります。例えば,閉経後女性のホルモン補充療法に関する研究では,観察研究では心筋梗塞を減らすという結果が出たのに, RCTではむしろリスクを増やす結果が出ました。
ただ,倫理的に,費用的に,他にも様々な問題があってRCTが行えない場合がありますよね。観察研究で傾向スコア解析が行われているかどうかというのは,その文献の信頼度を測るうえで重要なポイントであることは間違いないと思います。
名郷先生との面会での目から鱗のお話,次回も続きます! お楽しみに!
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