2012年9月7日金曜日

何を信じて何を疑えばいいですか? 第1弾:「アヤシイ」メタ解析

「CORE Journal 循環器」も,第2号発行にむけて制作が佳境に入ってきました!
執筆をお願いした回答者の先生からは,続々と原稿が届いています。(第2号のCQはこちら)

昨日は,名郷先生にエビデンステーブル(文献概要)の内容確認をお願いするため,武蔵国分寺公園クリニックにお邪魔しました。先生の診療が終わった後,みっちり3時間・・・
(先生ごめんなさい)

今回も,先生の「これ,いい論文ですね」「この論文,あやしいですね」「このデータ,ほんとかな~」というお話がすごすぎて!詳しくは,本誌の「エビデンス解説」というミニコーナーで紹介しますので,ご覧いただけると嬉しいです。このブログでも一部を紹介していきたいと思います!

第1弾 「アヤシイ」メタ解析

CQ2:HDL-Cを上昇させる治療は,心血管イベントの抑制に有効か?
で検索した,5件の論文について伺っていたときのことです。

メタ解析がRCTよりエビデンスレベルが高いなんて,嘘ですよ

↑ええ?!!! だってそんな・・・ 色々な本に,メタ解析がいいって書いてありますし(焦)。。

― 分類上,エビデンスレベル「1a」がRCTのメタ解析,「1b」がRCTとされていていますが,aとbはあくまでも『分類』にすぎません。RCTのメタ解析とRCTに,デザイン上の優劣はないんです。

↑知りませんでした。いずれもレベルの高いエビデンス,ということなのですね。

― むしろ,深く考えずに「メタ解析」に飛びついてしまうのは危ないんですよ。メタ解析はさまざまな研究の寄せ集めですから,バイアスが入りやすい。専門的には,「内的妥当性が低い」といいます。たとえば,異なる薬剤を用いた試験を詰め込んだメタ解析からは,参考程度の答えしか得ることができません。

― そうですね。同様に「HDL-C上昇のための薬物介入」と「プラセボ」を比べたRCT44件(約11万人)のメタ解析もちょっとアヤシイですね。この研究では,両群のイベント発生の差が0.1%しかないのに,P値には有意差がついています。母集団が大きいと,このような結果が出ることがよくあります。このときは,「有意差があった」ことより,「差が0.1%しかなかった」ことに注目すべきでしょう。

↑そんな見方,したことなかった。。「メタ解析」+「有意差」=すごい,と思っていました。まぜこぜのメタ解析よりは,大規模のRCTのほうがよいのかなあ。

― まぜこぜのメタ解析の結果が大規模RCTで覆るということは,これまでもさんざん繰り返されてきました。メタ解析でも,どんな研究が集められたのかが大事なんです。
「RCTのメタ解析」と書かれていても,「RCTのサブグループのメタ解析」だったり,「RCT対象者全体の観察結果のメタ解析」だったりすることがあります。これはエビデンスレベル1aの「RCTのメタ解析」とは異なるものとして,読んでいく必要があると思います。

↑そうなんだ・・・ これは忘れないようにしなければ。

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このほかにも,目から鱗のお話がつぎつぎと。次回以降の更新でご紹介します!



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